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住宅の品質確保の促進等に関する法律について

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齋藤 拓生(宮城・弁護士)
1 法律の成立
本年6月、 住宅の品質確保の促進等に関する法律 (以下 「住宅品質確保促進法」 といいます。) が成立しました。
住宅品質確保促進法のポイントは、 「新築住宅の契約に関する瑕疵保証の充実」 と 「性能表示制度の創設」 の2点です。

2  「新築住宅の契約に関する瑕疵保証の充実」 について
(1) 民法上の瑕疵担保期間は、 請負の場合が、 引渡しから5年間、 売買の場合が、 瑕疵の存在を知った時から1年間と規定されています。 住宅品質確保促進法では、 請負と売買とを問わず、 基本構造部分 (柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、 及び雨水の侵入を防止する部分) について、 完成から10年間の瑕疵保証責任が義務づけられることになりました。 しかも、 瑕疵担保期間を10年以下に短縮する特約は、 無効とされることになりました。
もっとも、 引渡から10年近く経過してから、 瑕疵を発見して、 業者の責任を追及しても、 業者は、 経年変化を主張したして争うことが予想されるので、 責任追及は、 容易ではないと思われます。 その意味でも、 瑕疵の存在についての業者に立証責任を負わせる制度の創設が見送られてしまったのは、 大変残念なことでした。

(2) また、 売買 (建売住宅)については、 これまで損害賠償請求しか認められておりませんでしたが、 住宅品質確保促進法により修補請求が認められることになりました。

3  「住宅性能表示制度」 について
住宅性能表示制度は、 住宅の性能を事前に比較できるよう新たに性能 (構造耐力、 耐久性、 防・耐火性、 遮音性、 省エネルギー性、 採光・換気性、 長寿社会対応性) の表示基準を設定するとともに、 客観的に性能を評価できる第三者機関を設置し、 住宅の品質の確保を図ろうとする制度です。
建築基準法は、 建物の最低基準を定めたものにすぎませんから、 より高品質な住宅の供給が望まれますが、 各住宅供給者が、 それぞれの基準で、 高品質であることを宣伝広告することになると、 消費者に混乱が生じます。 そこで、 創設されたのが、 住宅性能表示制度です。
さらに、 性能評価を受けた住宅については、 裁判外の紛争処理体制 (住宅紛争審査会) が創設されました。 住宅紛争審査会では、 表示された性能に限らず、 性能評価を受けた住宅にかかわるあらゆるトラブルを取扱うことができます。 性能評価を受けない住宅は、 住宅紛争審査会を利用することはできません。
性能評価料は、 一戸当たり4000円が予定されています。 今後、 住宅メーカーは、
消費者に対し、 性能評価を受けた住宅の取得を推奨することが予想されますので、 住宅性能表示制度が広く普及すると思われます。

4 今後の課題
今後は、 住宅品質確保促進法を、 景気対策として、 住宅の需要拡大を図るだけの法律に終わらせることなく、 欠陥住宅被害の予防・救済のために機能させることが求められています。
そのためには、 性能基準、 評価基準が適切であること、 住宅紛争審査会において紛争が適正かつ迅速に解決されることが必要不可欠です。
全国ネットにおいても、 制度の運用を監視、 必要に応じて意見を表明することが必要となります。            以上

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