勝つための鑑定書づくり 図解による欠陥住宅の補修方法と見積り |
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平山 建治 (宮城・建築士) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最近の欠陥住宅訴訟において、 被告側建築士や裁判所鑑定人 (調停人) である建築士との間で補修方法について専門的技術論争が増えてきております。 例えば、 軟弱地盤の上、 基礎に貫通ひび割れが多く、 底盤幅・厚み・鉄筋のかぶり厚が不足しているのに補修方法としては、 見た目にはよくないがコンクリートの増し打ちで問題ないと、 図面による明確な指導もなく、 漠然と結論つける被告側建築士や裁判所鑑定人 (調停人) の建築士がいます。 本来、 建物の出来、 不出来に関する技術的評価は ①建築基準法等の法令の規定の要件を満足しているか、 ②当事者が契約で定められた内容、 具体的には設計図書に定められた内容を満足しているか、 ③公庫融資を受けている建築物において公庫融資基準を満足しているか、 ④我が国の現在の標準的な技術水準を満足しているか、 等の基準が考えられます。 ところが構造耐力上主要な部分である基礎の構造的欠陥の補修方法として、 老朽化による耐震診断と同様の増し打ちコンクリートが妥当との判断では、 何のための新築工事だったのか疑問を感じます。 このままでは裁判において、 認められる補修金額も少なく、 新築なのに継ぎはぎだらけの補修でも支障ないとされます。 安心して快適に住める家を手に入れたのに、 構造的に不安な建物の中で何十年とローンを支払いながら住みつづけなければならないことを考えると、 同じ建築士として責任を痛感いたします。 欠陥箇所を取り除き、 新築建物としての交換価値を回復させるために、 補修方法は継ぎはぎだらけの補修であってはならないと思います。 あくまでもたたき台の一つですが [勝つための調査報告書づくり] として、 裁判官が理解しやすいように、 図解による欠陥住宅の補修方法と見積りを下記事例を参考に報告いたします。 *建物概要 仙台市西部に位置し東傾斜の丘陵地で南、 北側をRC擁壁、 東側を間知ブロック擁壁で囲まれた盛土をすることによって作られた造成地です。 木造2階建・床面積:1階76.18㎡+2階47. 20㎡=123. 38㎡ 屋根:日本瓦 外壁:モルタル下地リシン吹き付け *瑕疵 (欠陥) 内容 (1) 基礎の欠陥 ・軟弱地盤 (スウェーデン式サウンディング試験にて調査) である。 ・東側に最大傾斜15/1000の不同沈下が発生している。 ・基礎にひび割れ発生。 基礎の底盤幅・厚みが不足している。 ・鉄筋のかぶり厚が不足している。 ・アンカーボルトが不足している。 (2) 1階床組・2階小屋組の欠陥。 ・柱、 土台、 梁の主要構造部に金物による緊結がなされてない。 ・断熱材が設計図書通り施工されてない。 ・根太・タル木は設計図書通りの太さになってない。 ・主要構造物の仕口、 継手に施工不良箇所がある。 (3) 補修方法 敷地の周りに空地がないことから曳き家が不可能である。 従って、 考えられる方法は本件建物の現況の基礎を利用して鋼管杭を圧入し、 同工事が完了したうえで本件建物を一旦嵩上げし、 既設基礎を解体の上、 新基礎を構築し、 その上に建物を定着させる方法である。 建物を嵩上げするには土台から上部を持ち上げることになる。 必然的に内・外装にひび割れや捻れ、 ゆがみなどが発生することになるため、 内・外装の補修が避けられない。 加えて、 本件建物の場合、 柱・土台・梁の主要構造部に金物による緊結がなされておらず、 また、 断熱材が設計図書通りに施工されてないことから、 同各欠陥箇所を補修するには、 必然的に内装を剥がさなければならない。 さらに本件建物の外装モルタルには無数のひび割れが発生しており、 この補修のために外壁を剥がし補修する必要があるばかりか、 上記嵩上げ工事によりひび割れた外壁は現状以上にひび割れを生じさせることは必至の状態にある。 よって、 内・外装を一旦剥がし木構造の欠陥部分の補修工事が必要である。 *補修費用 修費用見積内訳書 (2002後期ポケット版・2002~2003リフォーム増改築編別紙参照)
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勝つための鑑定書づくり 「図解による欠陥住宅の補修方法と見積り」 平山建治 (宮城・建築士)
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