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勝訴判決報告   (4) RC造建物の取り壊し・建て替えを認めた判決(横浜地裁川崎支部平成13年12月20日判決) 河合敏男(東京・弁護士)

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河合 敏男(東京・弁護士)

1 事案と判決内容
RC造について、 平成13年12月20日、 横浜地裁川崎支部で取壊し建替えを認める勝訴判決を取ることができました。 RC造3階建て延べ面積約588平米、 設監分離、 欠陥概要は、 ①コンクリート打ち込み不良 (ジャンカやコールドジョイント)、 ②鉄筋のコンクリートかぶり厚さ不足、 ③柱脚部の帯筋が1本欠落 (つまり、 この部分の帯筋間隔が20㎝となる。) という事案です。 判決内容は、 取壊して建替える以外に相当な補修方法はないとして、 施工者と設計・監理者に連帯して取壊建替費用相当額 (約1億3000万円) の支払義務を認めるものでした。

2 所感
本件は平成7年に別の弁護士によって訴訟提起されたものですが、 途中で行き詰まってしまい、 不安になった依頼者が同弁護士を解任して平成10年に私が引き継いだものでした。 私の目から見て従前の訴訟のやり方では、 敗訴の可能性が高かったと思われます。 なぜならば、 従前の主張は、 ただ目に見える 「ジャンカ」 という欠陥現象のみを指摘し、 それを 「欠陥」 と認めるべき法的根拠、 客観的技術基準、 最低基準を下回る数値的検証等、 必要なことが何も明示されないまま、 しかも、 「取壊し建替え請求」 という大それた請求を立てていたのですから。
引き継いだときは、 ジャンカだけで取壊し建替え請求は厳しいし、 といって今更引っ込めるわけにもいかないし、 ということで、 作戦を立て直すことにしました。 そこで、 一級建築士藤島茂夫先生に協力を依頼して、 何か別の材料はないか、 他に大きな欠陥がないかどうか調査することにしたのです。 そして、 藤島先生のアドバイスによりRCレーダによる非破壊検査を実施し、 その結果、 かぶり厚不足と帯筋欠落が発見されました。 「これだけの材料が揃えばいけるかもしれない」、 と勇気づけられ、 藤島先生の鑑定書 (報告書) に基づいて法律構成も含めて主張を全面的に改定して訴訟を行ってきました。 その後、 業者側の鑑定申請により裁判上の鑑定も行われ、 その結果は取壊し建替えを否定する内容でしたが、 判決では同鑑定が採用されず藤島鑑定が採用されて勝訴判決に至りました。
RC造建物の取壊し建替えを認めた判決はあまり事例がなく、 今後の裁判実務に参考になるかと思います。 この判決は、 藤島先生の貴重なアドバイスと素晴らしい鑑定書無くしては到底勝ち取れなかったものであり、 改めて裁判における協力建築士の力量の重要性を感じた次第です。

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