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幹事長の独り言(1) 吉岡和弘(宮城・弁護士)

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吉岡 和弘(宮城・弁護士)

日本建築学会は会内に司法支援会議 (委員長に平山善吉・日大教授) というセクションを設置した。 最高裁は医療事件と住宅事件に鑑定人選任のシステムを用意した。 そして、 東京の河合弁護士から、 今後、 東京地裁民事22部 (裁判長田中信義判事) が住宅事件の専門部になる旨メールが届いた。 この段階ではさして怒りも沸かなかった。
ところがである。 何気なく昨年暮れから読み残していた日経アーキテクチャーを開き唖然としたばかりか、 ムラムラと怒りが湧いてきた。 同誌 2000年 12月 11日号 「司法支援」 (52頁以下) では上記の平山教授、 田中判事そして大森文彦弁護士 (東洋大学教授) の鼎談が掲載されていた。 田中教授いわく。 「建築基準法では何センチと書いてあるからこの寸法に満たない施工がなされれば建築基準法に違反することは確かだ。 しかし一旦出来上がったものの良否を判断する場合、 基準法に違反するからといって直ちに欠陥と評価していいのか。 私的鑑定書は何薄いですというところまでしか言わない。 それで非常に危険ですと抽象的な結論を言うわけです。 だから判断が難しくなるのです。」 などと発言し、 平山教授はこれを受けて 「私的鑑定書はよくないですね。 私的鑑定で、 基礎の幅が1㎝足りないと非常に危険だなどと指摘するものもいる。 しかし基準法にも許容応力度や安全率という考え方があるわけだから十分に話し合って説明すれば理解してもらえるのではないか」 (58頁) などと発言している。
数ある判事や学者の中にはこんな発言をする人もいるわな、 と捨て置くところだが、 彼らがこれからの欠陥住宅訴訟を仕切るキーマンだというのであれば話は別である。 東京地裁民事22部で変な判決が蓄積されないために、 当会として早期の取組みが必要だ。
「幹事長の独り言」欄を設けた編集者の意図は、 欠陥住宅問題から少し離れたところで息抜き的コラムを期待したいというものではなかったか。 しかし、 第一発目から息抜きなどしていられない内容になってしまった。 なんとも悲しいことだ。

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