松本 克美(京都・立命館大学法学部教授) |
私の専門は、 民法、 とくに安全配慮義務論を中心とした民事責任論、 それとの関連で損害賠償請求権の消滅時効・除斥期間の問題などを研究しています。 このたび専門外の 「欠陥住宅と建築者・販売者の責任」 というテーマで論文を書くはめになり、 勉強のために、 今回の大会に参加させていただきました。 とくに今回、 堺市の行政の取り組みでも紹介されたように、 違法な欠陥木造三階建物などは、 生命にもかかわり得るような危険構造のものもあるようです。 しかも充分な資力がないのでそのような狭い敷地の住宅を買わざるを得ない消費者の弱みにつけ込んでいる側面があります。 危険建造物をつくらせない、 売らせない、 買わないためには、 消費者に安全面での認識を普及させるとともに建築物に関する消費者の安全権をあらためて確認する必要があります (そもそも民法の次元でも通常有すべき安全性を欠いていればそれは 「瑕疵」 のはずです)。 また、 それに対応して建築者・販売者の建築物に関する安全確保義務論 (契約関係上の、 或いは専門家責任としての不法行為上の注意義務としての) を深化させる必要があるのではないかと思います。 懇親会では、 阪神大震災の際に、 建築後20年を超えた建築物の欠陥が明らかになり、 不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を起こしたら、 不法行為の時から20年 (民法742条後段) という除斥期間 (私見は時効説にたちますが、 判例は除斥期間説) が適用され請求が棄却されたという話を出席の弁護士さんからうかがいました。 まさに安全配慮義務や時効・除斥期間の問題が欠陥建造物についても問題となるようで、 結構私の専門に近いところに問題の所在を見つけた、 そんな実感を得られた全国大会でした。 住宅品質確保促進法案は意義とともに限界もあることが大会議論で指摘されましたが、 今後更にこの法案の成立をてこに欠陥住宅問題を広く社会問題化していく ことが必要でしょう。 なお先日、 京都ネットの会員になりましたので、 今後ともよろしくお願いします。 |
広島大会の感想
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