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欠陥住宅訴訟に関する近時の動向(2)  神﨑哲(京都・弁護士)

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神﨑 哲(京都・建築士)

第6号に続き、 欠陥住宅訴訟をめぐる最近の動きを報告したい。
最高裁に設置された 「建築関係訴訟委員会」 が始動している。 この委員会は、 鑑定人・調停委員候補者選定のみならず、 建築訴訟運営に関する調査審議をも目的としており、 実際、 昨年10月の議事要旨によると、 建築紛争の原因や、 基準法令と瑕疵の関係・損害額の算定方法等につき議論が為されている。 しかし、 議論では、 「小企業は、 最高水準を求めても無理ゆえ、 最低の要求水準を考えないと実態から乖離する」、 「基準法の基準は、 施工で不可避的に生じるばらつきの取扱が不明ゆえ紛争になる」 等といった趣旨の発言も見られ、 建築紛争の実態や基準法の最低基準たる規範的意味に対する理解が不十分と言わざるを得ない。 我々最高裁との協議メンバーは、 1月に意見書を提出し、 議論したい旨申し入れている。
また、 司法改革の領域でも、 建築紛争等の専門訴訟の改革として、 提訴前の証拠収集手続を設けて訴訟件数を減らそうという試案や、 専門員制度などが検討されている。
昨春、 大阪・東京各地裁に建築訴訟集中部が設置されたこと、 また、 そこでは付調停による処理が過半であること(東京で73%、 大阪で51%)等をも含めて近時の動向を見た場合、 ①審理ノウハウの蓄積および②専門家の積極的活用等によって、 ③建築紛争の大量迅速処理が最大の課題とされている。 ここで期待されているのが、 ④欠陥判断や損害額算定におけるマニュアル化や審理マニュアルの確立である。 しかし、 それは、 我々の考えている内容から程遠いものになってゆく可能性が否定できない。 もはや、 吉良判決の損害論を、 一裁判官の非常識と笑っていられない事態なのである。
我々にとって、 ここ数年の間の訴訟を始めとした活動が今後の欠陥住宅訴訟の行方を決定づけるということを肝に銘ずべきである。

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