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第16回長野大会特集 長野大会と甲信越ネットの活動報告 上條 剛(長野・弁護士)

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長野大会と甲信越ネットの活動報告
甲信越ネット事務局長 上條 剛(長野・弁護士)

1 昨年11月29・30日の両日にわたり長野市で第16回全国大会が開催されました。全国から大勢の皆さまにご来場いただき熱心な討論がなされたことが 思い起こされます。この紙面をお借りして、遠路はるばる長野の地までお越しいただいた全国の皆さまに感謝申し上げます。なお、大会参加人数は128名でし た。

2 大会は当初予定されていた開催要領のとおりに進行し、全ての課題を滞りなく終えて無事閉幕となりました。簡単ではありますが、少しだけ振り返ってみることにします。
1日目は吉岡和弘幹事長の基調報告に引き続き、「欠陥住宅被害の根絶と建築士の役割~これからの建築士はどうあるべきか」のテーマでパネルディスカッ ションがおこなわれました。パネリストにはトム亀井氏(元カリフォルニア州構造エンジニヤ協会副会長)・小倉善明氏(JIA副会長)・宮本忠長氏(日本建 築士会連合会会長)・加藤哲夫氏(千代田区役所建築指導課)が就かれ、吉岡幹事長がコーディネーターを務められました。4名のパネリストからは建築士の制 度や実態が説明され、今の建築士制度は欠陥住宅が作り出されることに有効に機能せず、大部分の建築士が本来の役割を果たしていないことが明らかになりまし た。続いて最高裁判所平成15年10月10日判決の意義が解説され、その後、松本克美立命館大学法学部教授から、欠陥住宅による損害賠償額から居住利益や 建物減価を控除することを認める損害調整論や慰謝料否定論についての講演がなされました。
2日目は、良質な大工の養成について(大森健司建築士)、勝つためのシックハウス訴状作成法(中島宏治弁護士)、勝つための鑑定書づくり(木津田秀雄 建築士)と実践的な報告がされ、その後河合敏男弁護士と田中厚弁護士から勝訴判決・勝利和解の報告がなされました。各報告者の皆さまには大変にご苦労さま でした。

3 全国大会に先立ち欠陥住宅甲信越ネットの設立総会が会場の別室で開かれました。甲信越ネットの活動エリアは山梨県・長野県・新潟県の三県で、会員は今 のところ28名です。28名の内訳は、研究者1名、弁護士16名、建築士9名、一般2名で、地域的に見ると、山梨県2名、長野県20名、新潟県6名となっ ています。しかし、甲信越地方といっても面積的には相当広い上に地域的に離ればなれなので28名の会員数では全く足りず十分な活動ができません。また、三 県の会員数にアンバランスがあり、これを解消することも重要な課題となっています。甲信越地域にお住まいがあり欠陥住宅に関心のある弁護士、建築士その他 の方をご存知でしたら是非ともご紹介ください。

4 1月24日には長野県弁護士会館で甲信越ネットの拡大幹事会を開催し、15名の会員が集まりました。そこでは次のとおり決まりました。なお、三県が離れているので頻繁に会議をすることができないことが大きな悩みです。
① 甲信越ネットのホームページを開設することになり、渡辺建築士に検討をしていただくことにしました。ホームページから相談のアクセスができるようにしたいと思います。
② ホームページとは別に三県の各地に相談受付窓口を設けることにしました。甲信越ネットには専用電話がないので、当面は法律事務所の電話を窓口にし、山梨は小笠原弁護士、長野は山崎泰正弁護士と上條、新潟は金子弁護士が窓口となることにしました。
③ 相談者の相談ルートを確立することを検討しました。
④ 学習会を開催することにしました。ネットを立ち上げたとしても、弁護士も建築士も欠陥住宅への対処法に十分精通しているとは言えないのが残念ながら 実情です。欠陥住宅の問題に取組む以上、住宅の何たるかを知らなければ役に立ちません。そこで、会内の学習会を旺盛にやろうということになりました。予定 は4月10・11日の両日を予定し、一晩泊まりで信州安曇野の温泉で甲信越ネットの総会を兼ねて開催することにしたものです(ただし、この報告が出るころ には終わっていることでしょう)。学習会の内容としては、裁判の規範となっている公庫仕様書をテキストにして、建物がどのようにつくられているのか、標準 的な工法はどのようなものであるか、典型的な欠陥としてはどのようなパターンがあるか、どの程度のものが欠陥・瑕疵と言いうるかなどを建築士から講義して いただき、ディスカッションすることにしました。仕様書としては、建物が多いと認められる木造在来工法に関するものを取り上げようと考えています。また、 学習会会場の近所に手頃な建築中の建物があれば、その現場まで赴いて構造見学会をすれば理解に資するとも考えて対象を物色中です。
⑤ 総会は学習会とセットで、一泊二日で開催することにしました。今のところ参加予定者は13名となっています。総会前の3月17日に幹事会と懇親会を長野市で開きます。
⑥ 欠陥住宅とシックハウスの相談について具体的な対応が始まっています。会員による集団の英知で取組みたいと考えています。
⑦ 大村代表幹事が主宰している市民講座「第9回家族の命と暮らしを守る住まいセミナー~シックスクールから子どもを守るための基礎知識」の協賛団体となることが承認されました。

5 全国大会を契機にして甲信越ネットが誕生しましたが、生まれたてのホヤホヤです。先駆的なネットに学びながら活動を充実化していくつもりですので、よろしくお願いいたします。

(欠陥住宅全国ネット機関紙「ふぉあ・すまいる」第11号〔2004年4月28日発行〕より)
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