よくある質問集


第1 はじめに

Q1 解決方法の概要

取得した住宅に欠陥がありました。どのようにして解決すればいいですか?

 Q2 専門家の必要性

欠陥住宅問題を解決するには、専門家にお願いした方がいいですか?

第2 欠陥住宅の法律関係

Q3 欠陥(瑕疵)とは

住宅やマンションの「欠陥」とは、どのようなものをいうのですか?

 Q4 解除

取得した住宅に欠陥がありました。もうこんな家には住みたくありません。家は返すので、支払ったお金を全部返して欲しいのですが、可能でしょうか?

 Q5 賠償請求の相手方

取得した住宅に欠陥がありました。損害賠償を請求したいのですが、誰に対して請求することが出来ますか?

 Q6 賠償請求出来る金額

取得した住宅に欠陥がありました。相手方に対しては、どのような金額の賠償を求めることが出来ますか?

 Q7 慰謝料

取得した住宅に欠陥があり、長年にわたり辛い思いを強いられました。修理費用を払ってもらっただけでは納得がいきません。慰謝料も請求することは出来ますか?

 Q8 責任追及の期間制限

取得した住宅に欠陥がありました。いつまで責任追及が出来ますか?

第3 欠陥住宅問題の解決方法

Q9 示談

欠陥住宅問題について、示談をする場合、どのようなことに気を付ければ良いですか?

 Q10 調停

欠陥住宅問題について、裁判所の調停を利用した場合、どのように進みますか?

 Q11 訴訟

欠陥住宅問題について、訴訟を提起した場合、どのくらいの時間がかかりますか?

第4 欠陥住宅問題の解決にかかる費用

Q12 費用

欠陥住宅問題について依頼する場合、どのような費用がかかりますか?

 Q13 調査費用や弁護士費用の相手方への請求

調査費用や弁護士費用など、欠陥住宅問題の解決のためにかかった費用を、相手方に負担させることが出来ますか?

第5 その他

Q14 欠陥がある場合の代金不払い

取得した住宅に欠陥がありました。請負代金の残金を支払わないことは出来ますか?

 Q15 相手方業者の破産

取得した住宅に欠陥がありました。損害賠償を請求したいのですが、相手方業者が破産しそうだと聞いています。破産してしまったら、どうしようもないのでしょうか?

 Q16 性能評価住宅

性能評価住宅というのは、どのようなものですか?

 

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第1 はじめに

 Q1 解決方法の概要

取得した住宅に欠陥がありました。どのようにして解決すればいいですか?

 A1

-まず初めに-

まずは、一級建築士による調査が必要です。建物の欠陥は、表面に出てきている不具合を見ただけでは、問題の程度が分からないことがあるためです。

一級建築士による調査の後、欠陥住宅の解決には、大きく3つの方法 ①任意の交渉 ②公的機関での調停 ③訴訟 という方法があります。

  ① 任意の交渉

任意の交渉は、相手方業者の態度に影響される側面が大きいでしょう。一級建築士の意見をもとに、まずはご自身で交渉を行うことになります。弁護士を入れて交渉することも可能です。

  ② 公的機関での調停

公的機関での調停には、簡易裁判所での調停、住宅紛争審査会での調停、また、建設工事紛争審査会の調停、弁護士会のあっせん・仲裁センターにおける調停があります。

いずれの調停でも、中立的な立場の一級建築士と弁護士が間に立って、話し合いを進めてくれます。

ただし、調停はあくまでも話し合いですので、合意出来ない場合は、強制力はありません。(裁判所における調停の詳細については、Q10をご覧下さい。)

  ③ 訴訟

最も強い紛争解決方法が、訴訟です。訴訟には、年単位の時間と、弁護士費用、場合により一級建築士による鑑定費用が必要となります。

相手方業者が全く応じない場合や、不同沈下・溶接欠陥などで賠償額が大きい場合には、訴訟によらざるを得ない場合があります。

 Q2 専門家の必要性

欠陥住宅問題を解決するには、専門家にお願いした方がいいですか?

 A2 

① 任意の交渉の段階

欠陥住宅問題では、当初から、一級建築士による調査が必要といえます。建物の欠陥は、現に出てきている不具合を見ただけでは、どのくらい危険なものか分からないことがあるためです。簡易なものでよいので、一度は一級建築士に見てもらいましょう。

その上で、任意の交渉は、まずはご自身で行うことになります。相手方業者が消滅時効など法律的な主張を持ち出した時には、弁護士の法律相談を受けると良いでしょう。

  ② 調停の段階

調停は、ご自身で行うことも可能です。

ただ、やはり、一級建築士による所見をまとめた書面(簡易なものでもよい)はあった方が良いでしょう。

また、建築基準法や宅地建物取引業法などが関係する事案では、建築訴訟を得意とする弁護士に依頼した方が良いでしょう。

  ③ 訴訟の段階

訴訟は、弁護士に依頼するのが現実的です。

また、訴訟提起前または訴訟中に、一級建築士による鑑定が必要となることがあります。

 

第2 欠陥住宅の法律関係

 Q3 欠陥(瑕疵)とは

住宅やマンションの「欠陥」とは、どのようなものをいうのですか?

 A3

◆ 欠陥とは

欠陥住宅の「欠陥」は、法律上は「瑕疵(かし)」と言います。

瑕疵は、大きく分けて次の2種類に分けられます。

 1 契約によって有すべきことが求められる品質・性能がない場合

  または、

 2 通常有すべきものとして一般的に求められる品質・性能がない場合

1の例としては、特別に頑丈なアパートを建てるため、特別に太い鉄骨で家を建てるという内容で契約したのに、通常の太さの鉄骨しか使用しなかった場合があります。

2の例としては、防水シートの施行不良で天井から雨漏りがする場合や、建物全体が不均等に沈下する(不同沈下)により床や柱が傾斜している場合などがあります。

  ◆ 欠陥現象と欠陥原因

なお、雨漏りや床・柱の傾斜など、表面に現れている不具合のことを欠陥現象といい、その原因である防水シートの施行不良や不同沈下のことを欠陥原因と言います。

欠陥住宅紛争を解決するためには、欠陥原因を把握することが重要です。

  ◆ 欠陥の判断基準

欠陥の判断基準としては、次のようなものが挙げられます。

 ア 契約内容(契約書、設計図書)

 イ 法令(建築基準法、同法施行令、国土交通省告示、条例)

 ウ 一般的技術基準(日本建築学会の各種構造設計基準や工事別技術指針等)

 エ 条理(防水性、水勾配、雪止め等)

 オ 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の標準仕様書

契約内容や法令がどの部分まで基準となるのか、また、その他のものがどのように基準となるかは、事案によって異なります。

 Q4 解除

取得した住宅に欠陥がありました。もうこんな家には住みたくありません。家は返すので、支払ったお金を全部返して欲しいのですが、可能でしょうか?

 A4

欠陥住宅の被害にあった場合、一般的には修理代金などの損害賠償請求を行うことになります。ただし、契約を遡って無かったことにする(解除)ことが可能なこともあります。

  ① 売買契約の場合(分譲住宅、建売住宅、中古住宅など)

欠陥が重大で、かつ、修理が出来ない時など、「契約をした目的を達することができないとき」(民法570条・566条)には、解除をすることが出来ます。

  ② 請負の場合(注文住宅など)

請負契約は、建物の完成後には、解除することが出来ません(民法635条ただし書)。なお、欠陥が重大であれば、建物の建替え費用の賠償が認められる場合もあります(最判平成14年9月24日)。

建物が完成するまでは、相手方に債務不履行がある場合は、解除することが可能です。

 

 Q5 賠償請求の相手方

取得した住宅に欠陥がありました。損害賠償を請求したいのですが、誰に対して請求することが出来ますか?

 A5

① 売買契約の場合(分譲住宅、建売住宅、中古住宅など)

ア 売主

売主に対する請求が主になります。

イ 施行者・設計者・監理者

また、欠陥の内容やその他の事情によっては、その建物を実際に建築した建設業者や、その建物を設計した建築士、工事監理者であった建築士に対して、請求が可能なこともあります。

ウ 仲介業者

仲介業者は建築の専門家ではないため、欠陥住宅の責任を全て負う訳ではありませんが、欠陥現象に気付いていながら調査や説明等をしなかった場合などでは、請求が可能なこともあります。

エ その他

やや特殊な場合ですが、建築主事を置く地方自治体や指定確認検査機関への請求や、シックハウスなどで住宅部材のメーカーへの請求も考えられます。

オ 取締役

これらの相手方が法人(株式会社など)である場合で、その法人に賠償能力がないときなどは、その法人の取締役個人に対する請求を検討すべき場合もあります。

  ② 請負の場合(注文住宅など)

ア 請負人

請負人に対する請求が主になります。

イ 設計者・監理者

また、欠陥の内容やその他の事情によっては、その建物を設計した建築士、工事監理者であった建築士に対して、請求が可能なこともあります。

ウ その他

やや特殊な場合ですが、建築主事を置く地方自治体や指定確認検査機関への請求やシックハウスなどで住宅部材のメーカーへの請求も考えられます。

エ 取締役

これらの相手方が法人(株式会社など)である場合で、その法人に賠償能力がないときなどは、その法人の取締役個人に対する請求を検討すべき場合もあります。

 

 Q6 賠償請求出来る金額

取得した住宅に欠陥がありました。相手方に対しては、どのような金額の賠償を求めることが出来ますか?

 A6 

賠償請求の対象となる項目は、下記のとおりです。

大きく問題となることが多いのは、修理費用です。修理費用については、どのような方法の修理が必要であるのか、また、その金額が問題となります。

  ① 売買契約の場合(分譲住宅、建売住宅、中古住宅など)

◆ 売買契約を解除する(出来る)場合

 ア 売買代金

 イ 諸経費(仲介手数料、登記費用・印紙代)、税金(不動産取得税・固定資産税・住宅ローンの既払利息・火災保険料等)

 ウ 引越費用

 エ 欠陥調査鑑定費用

 オ 慰謝料(詳しくはQ7へ)

 カ 弁護士費用(詳しくはQ13へ)

 キ その他(収益物件や店舗用建物における営業上の損失など)

◆ 売買契約を解除しない(出来ない)場合

 ア 修理費用(品確法の適用がある場合、現実の修理請求も可能)

 イ 修理期間中の仮住まい費用(往復の引越費用含む)

 ウ 欠陥調査鑑定費用

 エ 慰謝料(詳しくはQ7へ)

 オ 弁護士費用(詳しくはQ13へ)

 カ その他(収益物件や店舗用建物における営業上の損失など)

  ② 請負の場合(注文住宅など)

ア 修理費用

イ 修理期間中の仮住まい費用(往復の引越費用含む)

ウ 欠陥調査鑑定費用

エ 慰謝料(詳しくはQ7へ)

オ 弁護士費用(詳しくはQ13へ)

カ その他(収益物件や店舗用建物における営業上の損失など)

 

 Q7 慰謝料

取得した住宅に欠陥があり、長年にわたり辛い思いを強いられました。修理費用を払ってもらっただけでは納得がいきません。慰謝料も請求することは出来ますか?

 A7 

事案によっては、慰謝料請求が認められる場合もあります。

明確な判断基準は確立していませんが、最近の裁判例では、欠陥が原因で雨漏りや床の傾斜などが発生し生活が阻害される状況にあれば、慰謝料が認められる傾向にあります。

慰謝料の額についても、明確な判断基準は確立されていませんが、欠陥の重大性、修理箇所の多さ、安全生に対する不安感、生活上の不便さ、居住期間の長さ等の諸事情が考慮されるものと考えられます。

不同沈下の事案で慰謝料900万円を認めた裁判例もありますが、重大な欠陥の場合でも概ね100万円程度が多いと思われます。

 

 

 Q8 責任追及の期間制限

取得した住宅に欠陥がありました。いつまで責任追及が出来ますか?

 A8

消滅時効・除訴期間などの期間制限は、法律の適用が複雑である上、紛争解決に重大な影響を与えることがあります。早急に弁護士に相談することをお勧めします。

  ① 売買契約の場合(分譲住宅、建売住宅、中古住宅など)

多くの場合、契約上の特約や約款で、期間制限が定められています。

ただし、品確法が適用される住宅(平成12年4月1日以降に締結された契約による新築住宅)であれば、「構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分」の欠陥については、引渡から10年間、売主は瑕疵担保責任を負い、この期間は短縮することが出来ません。

また、(品確法の適用がある場合でも、)瑕疵担保責任は、「事実を知った時」から1年以内に行使する必要があります。

なお、「事実を知った時」の意味については、雨漏り等の「現象」ではなく、専門家の調査によって根本的な「原因」を知った時をいう、とする裁判例もあります。

 

  ② 請負の場合(注文住宅など)

多くの場合、契約上の特約や約款で、期間制限が定められています。特約のない場合、瑕疵担保責任は、木造等住宅の場合は引渡から5年、コンクリート造・鉄骨造等住宅の場合は引渡から10年とされています。

ただし、品確法が適用される住宅(平成12年4月1日以降に締結された契約による新築住宅)であれば、「構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分」の欠陥については、引渡から10年間、請負人は瑕疵担保責任を負い、この期間は短縮することが出来ません。

また、(品確法の適用がある場合でも、)欠陥により滅失または損傷した場合は、「滅失又は損傷の時」から1年以内、とされています。

なお、「滅失又は損傷の時」の意味については、欠陥の存在が明白であるといえる程度に滅失または損傷した時をいう、とする裁判例もあります。

 

③不法行為

なお、売買か請負かを問わず、「建物としての基本的な安全性」を害するような欠陥については、契約責任とは別の、不法行為責任が成立する場合があります。

この場合の期間制限は、「損害及び加害者を知った時」から3年、または、「不法行為の時」から20年とされています。

 Q9 示談

欠陥住宅問題について、示談をする場合、どのようなことに気を付ければ良いですか?

 A9

示談による解決は、話し合いによる解決によりこれ以上の紛争を止めるためのものですから、示談の内容を取り交わす書面(「示談書」や「和解契約書」等と呼ばれます)には、「当事者間の間には、本件に関しては、この示談書に定めた以外の権利義務はない」といった内容の条項(「清算条項」といいます)を定めるのが通常です。

そのため、一旦示談してしまうと、後で、請求をしたり裁判をすることが出来ないというのが原則です。そうでないと、いつまでも紛争を蒸し返すことが出来、紛争を止めるという示談の意味がないからです。

ただし、その示談の時に前提となっていなかった事実(例えば示談後全く新たな欠陥が判明したような場合)に関しては、示談後であっても再度請求や訴訟が出来る場合があります。もっとも、そのような場合は例外的です。

したがって、当初の示談の際に、双方の間で何がどのように紛争になっているのか、他に欠陥はないのか、をしっかり見極めておく必要があります。

 

 Q10 調停

欠陥住宅問題について、裁判所の調停を利用する場合、どのように進みますか?

 A10

◆ 調停とは

調停とは、紛争が起こって対立している当事者双方の間に裁判所が入って双方から言い分を聞きつつ、解決案を提示することによって紛争の解決をはかる制度です。当事者どちらかが裁判所へ申し立てることによって行われます。

  ◆ 欠陥住宅に関する調停

欠陥住宅に関する調停では、調停主任の裁判官1名と、2名の調停委員(弁護士調停委員1名と建築関係調停委員1名)から組織される調停委員会が紛争の解決にあたります。

ただし、小規模な簡易裁判所では、一級建築士がいないこともあります。そのような場合は、相手方業者と、大規模な簡易裁判所(大阪簡易裁判所など)で行う管轄の合意をすると良いでしょう。

  ◆ 調停が適する場合

一般的には、調停に適するのは欠陥が軽微で請求額が少額である事案とされています。

ただし、個別具体的事情により、調停に適するか裁判に適するかは異なります。ご自身の事案が調停に適するか否かについては、弁護士にご相談下さい。

  ◆ 調停の期間

調停にどのくらいの期間がかかるかは、個別の事案ごとで異なり、一概にどの程度かかるとは言い難いです。

裁判所の統計では、1年内で調停成立したものが7割程度、うち6ヶ月の成立は3割程度となっています。

  ◆ 調停の費用

裁判所に納める印紙代は、裁判手続きの場合の半額です。なお、弁護士に依頼される場合には弁護士費用、建築士の鑑定等を依頼する場合にはその費用がかかります。Q12をご参照下さい。

  ◆ 調停における現地調査

現地調停または調停委員による事実調査という形で現地見分けをすることがあります。

  ◆ 調停が成立しなかった場合

調停委員会は、調停が成立する見込みがないときには、調停を終了させます。

当事者は、さらに裁判所に訴え提起をすることが可能です。調停不成立の通知から2週間以内に、調停の目的となった請求について訴訟提起をしたときは、調停申立の時に訴訟提起があったものとみなされます。

 

 Q11 訴訟

欠陥住宅問題について、訴訟を提起した場合、どのくらいの時間がかかりますか

 A11

平成21年における、「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(最高裁判所)によれば、建築訴訟における第一審の平均審理期間は、欠陥の主張のない事案で11ヶ月、欠陥の主張のある事案では25.7ヶ月です。(なお、民事訴訟全体の第一審の平均審理期間は8.4ヶ月です。)

近時は、短縮化の方向にあり、また、建築訴訟になれた弁護士であれば長期化するおそれは少なくなりますが、ゆうに1年以上はかかると考えた法が良いでしょう。

 

 Q12 費用

欠陥住宅問題について依頼する場合、どのような費用がかかりますか?

 A12

費用は、大きく分けて、①建築士に支払うもの ②弁護士に支払うもの ③裁判所に支払うもの に分かれます。

  ① 建築士

ア 予備調査

欠陥住宅関西ネットでは、かかった時間1時間当たり1万円(消費税別)で、5時間以上かかった場合でも5万円を上限としています。なお、かかった時間には、現場との往復時間も含まれます。

また、予備調査に関しては、調査報告等を作成しないことが多いですが、調査報告書作成が必要な場合、作成費用をいただくこともあります。

イ 本調査

建物の規模や調査項目によって様々です。一般の木造住宅の場合、30万円から70万円というケースが多いです。本調査の場合、調査報告書作成費用も含まれます。

ウ その他

例えば、訴訟を行っているときに、相手方の主張に対し、建築技術的な反論等を行う必要があり、そのような場合、建築士の協力が不可欠となります。そのための費用の決め方としては、時間制と定額制があります。

時間制の場合、1時間当たり1万円が基本となります。定額制の場合、例えば、訴訟の第1審が始まってから終わるまでの間で、時間に関わらず30万円とする、などの決め方になります。

  ② 弁護士

弁護士の費用は、通常、事件に着手する時に頂く着手金と、事件が解決した時の報酬金に分かれます。

ア 着手金

相手方に損害賠償請求、すなわち金銭の支払いを求める場合、請求する金額に応じて、着手金が定まります。

標準的には、300万円までの部分について8%、300万円以上3000万円までの部分について5%、3000万円を求める場合は159万円となります。

以上はあくまで目安で、決められたものではありません。実際には、弁護士と協議して決めていただくことになります。

相手方に修理を求める場合、修理に要する費用を参考にして決めることになります。

イ 報酬金

損害賠償請求の場合、相手方から、いくら賠償金を回収出来たかによって金額が決まります。

標準的には、300万円までの部分について16%、300万円以上3000万円までの部分について10%、3000万円以上の部分について6%です。例えば、500万円回収した場合は68万円、3000万円回収した場合は318万円となります。

着手金と同様目安であり、実際には、弁護士と協議して決めて頂くことになります。委任契約を締結する際に決めることになります。

相手方に修理させた場合、修理に要した費用を参考にして決めることになります。

  ③ 裁判所

裁判所にかかる費用としては、印紙代、予納郵券代があります。裁判上の鑑定を行うばあい、鑑定費用を納める必要が出てくることもあります。

ア 印紙代

訴額と手続きの種類によって決まります。

例えば、500万円の損害賠償請求訴訟を提起する場合は3万円、3000万円の場合は302万円です。調停を申し立てる場合はその半分です。

イ 予納郵券代

どの裁判所で申立をするか、相手方が何人かによって異なります。

例えば、大阪地裁で、相手方1名に対して訴訟を提起する場合、4800円です。相手方が1名増えるごとに1050円が追加されます。

ウ 鑑定費用

何を鑑定してもらかによります。数十万円の場合が多いですが、100万円を超えることもあります。例えば、鑑定を求めたのが相手方という場合、相手方が全額を納めることもありますし、双方が折半することもあります。

 

 Q13 調査費用や弁護士費用の相手方への請求

調査費用や弁護士費用など、欠陥住宅問題の解決のためにかかった費用を、相手方に負担させることが出来ますか?

 A13

出来る場合と出来ない場合があります。負担させることが出来る場合でも、全額というわけではありません。

判決によって損害賠償請求が認められた場合、調査費用と弁護士費用も認められることが一般的です。

調査費用については、全額が認められることもありますが、事件解決のために相当だと認められる額に限定されることも多いです。

弁護士費用については、事案によりますが、弁護士費用以外の損害額を認定し、その額の1割を弁護士費用として付け加えるというのが一般的です。例えば、修理費用相当額が1000万円、調査費用が100万円、慰謝料が100万円認められた場合、弁護士費用として120万円を追加し、合計1320万円の損害賠償を命じる、という判決になります。

また、裁判所にかかった費用、主に鑑定費用は、訴訟使用と呼ばれ、判決が下される場合、訴訟費用の負担についても定められます。訴訟費用は、敗訴した方が負担するのが原則で、一部敗訴の場合には、割合的に定められます。

 

 Q14 欠陥がある場合の代金不払い

取得した住宅に欠陥がありました。請負代金の残金を支払わないことは出来ますか?

 A14

住宅に欠陥がある場合、請負契約の注文者(施主)には、建築請負業者に対して修理を請求する権利や、修理に代わる損害賠償を請求する権利があります。

これらの権利の金額が、請負残代金と相当かけ離れている場合(請負残代金は多額であるのに、修理に必要な金額は少額である場合など)を除き、注文者は、建築請負業者が修補したり損害賠償をするまで請負代金の残額を支払わないことが出来ます(民法634条、最判)。

 Q15 相手方業者の破産

取得した住宅に欠陥がありました。損害賠償を請求したいのですが、相手方業者が破産しそうだと聞いています。破産してしまったら、どうしようもないのでしょうか?

 A15

相手方業者が破産してしまった場合、その業者自身から賠償金を取ることは、かなり困難です。

ただし、平成21年10月1日以降に引き渡された新築住宅では、構造耐力上主要な部分、または雨水の浸入を防止する部分の欠陥について、「住宅瑕疵保険」等が設定されており、相手方業者が倒産した場合でも、保険金等の請求が可能です(住宅瑕疵担保履行法)。

また、賠償義務を負うのは、直接の相手方業者だけとは限りませんので、その他に責任追及出来る先がないか、検討することも必要です。(この点については、Q5をご覧下さい。)

 

 Q16 性能評価住宅

性能評価住宅というのは、どのようなものですか?

 A16

◆ 性能評価住宅とは

性能評価住宅とは、住宅の性能を示す共通の物差しを用いて、第三者機関が評価した住宅を言います。

共通の物差しを設定することにより、良い住宅であるかどうかを比較しやすくするために作られた制度です。

正式な定義としては、住宅品確法に基づく住宅性能表示制度を利用して建築住宅性能評価書が交付された住宅を言います。

  ◆ 設計評価と建設評価

設計評価と建築評価の2種類があります。設計評価では設計段階の図面を検査するものです。建設評価は、建築工事・完成段階の検査を行います。

  ◆ 評価の項目、等級

評価の項目は、10項目です。地震などに対する強さ(構造の安定)、柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)、配管の清掃や修理のしやすさ、更新対策(維持管理・更新への配慮)、省エネルギー対策(温熱環境)、シックハウス対策・換気(空気環境)、などがあります。

それぞれの項目について、等級(4段階や2段階など)が定められています。

なお、全ての項目評価しなければならないわけではありません。

  ◆ 注意点

まず、評価の内容に注意する必要があります。例えば、耐震等級は3~1の等級があり、最低等級である1は建築基準法と同等の耐震性が確保されている場合を言います。つまり、そもそも等級1は「最低の基準」(建築基準法1条)を満たしているだけです。

また、設計評価は、あくまでも設計図書を評価するだけですので、実際の建物を評価するわけではありません。

建設評価の場合は、建築途中で、現にその建物の検査を行います。