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【行政へのアピール】復興の中で欠陥住宅を産み出さないために ~ 16年前の被災地神戸からの緊急アピール ~

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復興の中で欠陥住宅を産み出さないために

16年前の被災地神戸からの緊急アピール   

 

  私たちは、16年前の阪神・淡路大震災を契機に、弁護士、建築士、研究者、欠陥住宅被害者や消費者問題に関わる多くの市民の賛同のもと結成され、その後、長年にわたり欠陥住宅被害の救済と予防のため活動をしてきましたが、今般、第30回大会を神戸で開催し、ここ神戸で集いました。

この度の東日本大震災により、お亡くなりになった方々に深い哀悼の意を献げるとともに、被災された地域の皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。

阪神・淡路大震災の後、多くの住宅が一時に建築されましたが、その際、①建築工事に従事する者が未熟練あるいは多忙により、法遵守の意識や作業の水準が落ちる、②建築資材が払底し、間に合わせの資材を使用したり、承諾のない仕様変更が横行したりする、③悪質施工業者が、当初から利潤だけを目的に施工を行う、④住宅取得者の側も「設計・監理」と「施工」との分離を求める意識が低かったうえ、当時の建築基準法のもとで完了検査率は低く、中間検査制度も未だ導入されていなかった、といった要因により、多数の欠陥住宅が産み出されました。

その後、完了検査率の上昇、建築基準法の改正による中間検査制度の導入等の手当がされてきましたが、大震災直後の復興需要時期においては欠陥住宅が産み出されやすい状況にあることは、現在も変わらないと考えられます。

そもそも、住宅は、そこで人が生活を営む器でありながら、ひとたび地震等の天災が発生するとそこに住まう人を殺す凶器にもなります。安全な住居に居住する権利は重要な基本的人権でもあります。したがって、いかなる場合においても、欠陥住宅が産み出されることは許されてはなりません。

そこで、私たちは、上記経験に基づき、この度の関東東北の被災地において、今後の復興の中で新たに欠陥住宅が産み出されることのないよう、国及び被災地の地方公共団体に対し、下記の点を強く要望します。

1 国及び被災地の地方公共団体は、欠陥住宅の予防の観点から、震災復興期における悪質施工業者の取締を積極的に行うべきです。

2 国及び被災地の地方公共団体は、大震災からの復興という状況下にあっても、阪神・淡路大震災以来強化されてきた建築に関する法規制の緩和や簡素化をすべきではありません。なお、接道義務等について万やむを得ずに緩和を認める場合には、脱法的に利用されていないか十分チェックすべきです。

3 国及び被災地の地方公共団体は、制度導入以来、中間検査制度が欠陥住宅被害の予防に果たしてきた大きな成果に鑑み、これを省略したりすることは絶対にせず、むしろ要求されていない工程にも上乗せする方向で運用をすべきです。 

4 国は、被災地において建築確認等を担当する機関(民間確認機関を含む。)について、前項の役割を十分果たせるよう人的・物的支援をするとともに、その各種検査の内容について事後的に厳しいチェックをすべきです。

5 国及び被災地の地方公共団体は、公費による建物解体や、被災建物建替優遇制度等について、制度適用の期限を切って被災者の意に反し早期の建替を誘導する制度設計をすべきではありません。

 

平成23年5月29日

欠陥住宅被害全国連絡協議会(欠陥住宅全国ネット)

第30回神戸大会参加者一同

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