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第11回秋田大会アピール 「住宅品質確保促進法の実施にかかわるアピール」

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1  昨年4月より施行されている住宅の品質確保の促進等に関する法律 (略称住宅品確法) に基づき、 指定住宅性能評価機関による住宅性能評価を受けた住宅が、 今年初めあたりから、 市場に出廻り始めている。
この制度の狙いは、 価格やブランド名ではなく、 住宅性能を客観的かつ相互に比較できる仕組みを整備することにより、 良質な住宅の確保を図ろうとするものである。
従って、 この制度のもとでは、 設計及び建設 (引渡) の二段階で公正な第三者性能評価機関の作成になる性能評価書が交付されることが本来予定されており、 その効果として評価書に記載された各住宅性能が契約内容として担保されることが本質的に重要である。
更に、 当該性能評価住宅を巡るトラブルが生じた場合にも、 消費者保護の見地から原則として全国の都道府県に存在する弁護士会内に住宅紛争審査会を設置し、 簡易・迅速に解決する仕組みを整備することにより、 本来任意の制度であるこの制度を全体として誘導していこうとしているのである。

2 ところが、 現在、 この法律の実施に関して、 以下のような重大な問題が懸念される。
第一に、 大規模マンション以外にはあまり実施されておらず偏りがあることである。 この問題については、 個人住宅や中小工務店による設計・施工にもこの制度が利用され普及するようにするための、 保険制度の更なる積極的活用とその利用を促す十分な宣伝及び広報、 性能評価項目の再検討、 評価員の資質向上等、 制度設計全体に関わる見直しが必要であり、 当協議会としても引き続き今後の検討課題としたいと考えるが、 貴庁においても検討されたい。

第二に、 設計段階では第三者性能評価機関の手になる設計性能評価書を交付しながら、 引渡し段階では同評価機関の建設性能評価書ではなく、 自社評価書しか交付していないと思われるケースが、 これまでの実施状況にかかわる記者発表用資料や各種マンションの広告チラシなどから、 相当数あることが窺われることである。 これでは、 前述のような制度の趣旨から予定されている本来の利用とは異なるばかりか、 引渡し段階での住宅の各性能が客観的な第三者性能評価機関によって保証されず、 「性能評価住宅」 という表示が業者の宣伝にのみ利用されかねない恐れがある。 また、 住宅紛争審査会の紛争処理業務の対象となるのは建設住宅性能評価書が交付された住宅に限られる (住宅品確法第63条) ことから、 上記のようなケースの場合、 住宅取得者は住宅紛争審査会による救済が受けられないことになる。 制度のこのような利用方法が横行すれば、 消費者の誤認を招き、 制度全体への信頼を失うことになるとともに、 建設段階での性能評価書も提出された場合にのみ1戸あたり4千円徴収される各性能評価機関からの負担金を主要な財源とする住宅紛争審査会の運営にも多大な影響を及ぼすこと必至である。

第三に、 各性能評価機関についても、 建築確認・検査の民間開放に伴うニュービジネスとして相応の収益が見込まれることから、 事実上、 建設会社と資本及び人的つながりの深い性能評価機関が多数参入し、 性能評価の公正さに疑問が生ずることも予想されるところである。

3 以上第二、 第三に述べた本制度実施上の問題点に鑑み、 国土交通省におかれては、 制度の本来の目的である良質な住宅の確保と住宅紛争審査会による紛争処理の円滑化・迅速化が図られるために、 早急に以下の措置をとられることを要望する。
(1) 住宅供給業者に対して、 できるだけ設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の双方を取得するよう指導すること。
設計住宅性能評価書のみで、 建設住宅性能評価書を添付・交付しない新築住宅については、 引渡段階の性能を第三者機関により保証するものではないこと、 住宅紛争審査会での紛争処理は受けられないこと、 を広報などを通じて消費者に周知させるとともに、 契約に当たって業者に十分に説明させることによって、 消費者の誤認が生じないようにすること。 このような住宅については住宅金融公庫割増融資対象からの除外等効果的な措置をとること。
上記に関して、 消費者の誤認を生じさせるような宣伝、 勧誘を行った悪質な業者の公表等を実施すること。
(2) 性能評価機関の大臣指定における第三者性の認定にあたっては、 制度の趣旨に鑑み、 厳格に判断するとともに、 その評価実績及び事後の性能評価の適否をめぐる紛争の有無等に留意し、 場合によっては、 報告書の徴求、 検査、 指定取り消し等住宅品確法で規定された監督措置を果断にとること。
以上、 大会参加者の総意としてアピールする。

2001年5月25日 欠陥住宅被害全国連絡協議会
第11回秋田大会 参加者一同

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